同志社グリークラブ第110回定期演奏会


2014-12-08

 昨日,同志社グリークラブの第110回定期演奏会に行ってきた。生で男声合唱を聴くのは久しぶりなので楽しみに出かけたのだけど,期待以上の出来栄えだった。以前にも書いたが。30年ほど前はテノールがすごくてビンビンに頭声を響かせていたのだけど,このトーンが変わっていないのは感涙ものだった。伝統の力というか,トレーニング方法がしっかりしいるのか,凄いことです。

 厳密に言うと,昔と少し鳴り方が違うように思う。昔はもう少しビブラートがかかり,響きが鼻腔で縦に鳴っていて,ステージから客席にまっすぐに飛んでくる感じ。対して今は,ビブラートはかけずに鼻から頭を全て鳴らし,四方八方に立体的に響きを飛ばしてくる。昔はリリックで,今はドラマティックとでも言えようか。

 更に感動したのは,OBとの合同演奏。現役が60名程度でOBはおよそ90名ちかくのっていたと思うが,テノールの声が濁らない。トップだけで多分40名以上いたと思うが,ピッチの低い声やかすれた声が聴こえない。お年の方もきれいに頭声を聞かせておられるようだ(よく響く方の声にマスクされているのかもしれないが,ともかくパートの音に贅肉がない)。150名で歌う「詩篇98」は圧巻でした。

 やや物足りないのはベース。昔は,関学ほどではないが十分に太い厚いベースが鳴っていたのだが,浅い軽いベースに聞こえる。今風のようだけど,オールドファンには物足りない。ベースの響きが弱いせいか,全体にフォルテの素晴らしさに比べると,ピアノで音が痩せる印象もある。ベースがハーモニーを支えていないような。。 ショスタコーヴィチの「十の詩曲」から抜粋・編曲された「6つの男声合唱曲」の終曲,「歌」では最後が圧倒的だっただけに,音が痩せて弱声の中間部が緊張感ある表現にならなかったのが残念。

 弱声の響きと表現を研究すれば,コンクールでの優勝も十分狙えると思う。今年はライバルの関学に1点差で負けたそうだけど,来年は頑張って欲しい。関学を聴いたら,また違うことを言うかもしれないけれど。


日本男声合唱史研究室

日本における男声合唱史の研究 Study on male chorus history in Japan 主として明治期から1980年頃までの,日本の男声合唱について資料調査したことを中心にアップしていく予定です。いわば,私家版の「日本男声合唱史」を作る試みです。 タイトルは思い切り気張ってみました(笑)。 2024年4月15日から「無料プラン」の仕様が変わるため,構成を組み替えました。

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