2022.05.12 08:54伊藤友計西洋音楽の正体 調と和声の不思議を探る 私は合唱を嗜むものであるけれど,いわゆる楽典をきちんと勉強したことがない。中学高校の音楽の授業と,高校の合唱部に入ったときに芥川也寸志の岩波新書「音楽の基礎」を何度か読んだくらい。この本が名著だったけど,さすがに新書に盛り込める内容には限界があり,タイトル通り基礎を身に着けた程度。仲間には楽典に詳しい人も多く,自分で理解していなくてもついて行けばなんとかなるのが合唱のよいところ。福永...
2021.11.27 07:15ボーカロイドによる男声合唱 ご存じの方も多いでしょうが,VOCALOID(ボーカロイド)という音声合成技術で多田武彦の合唱曲を歌わせている方(PikabonTさん)がおられ,Youtubeで聴くことができる。https://www.youtube.com/user/pikabonT/videos VOCALOIDはwikipediaによれば「メロディーと歌詞を入力することでサンプリングされた人の声を元にした歌声を合成するこ...
2021.11.27 07:06西洋音楽の正体 調と和声の不思議を探る 私は合唱を嗜むものであるけれど,いわゆる楽典をきちんと勉強したことがない。中学高校の音楽の授業と,高校の合唱部に入ったときに芥川也寸志の岩波新書「音楽の基礎」を何度か読んだくらい。この本が名著だったけど,さすがに新書に盛り込める内容には限界があり,タイトル通り基礎を身に着けた程度。仲間には楽典に詳しい人も多く,自分で理解していなくてもついて行けばなんとかなるのが合唱のよいところ。福永陽...
2017.10.25 06:19ジョーゼフ・ジョルダーニア「人間はなぜ歌うのか?」 副題は「人類の進化における『うた』の起源」。ここで「うた」とはポリフォニー,多声音楽のこと*。合唱と言ったほうが分かりやすいが,この本では作曲家が作った曲ではなく,民衆の間で自然発生的に歌われてきた歌を扱っている。そして,この合唱が人類の進化とどう関わってきたか,大胆な仮説を提唱しており,合唱と人類進化史が大好きな私のために書かれたような本。著者ジョルダーニアはポリフォニーに焦点を絞った研究を長...
2017.03.05 06:42男声合唱組曲「月光とピエロ」と本多勝一 本多勝一氏はこのところ朝日新聞に引きずられる形で批判され,なかなか大変な状況だけれど,初期の探検ルポ3部作「ニューギニア高地人」「カナダ・エスキモー」「アラビア遊牧民」は大変面白く,高校生だった40年前に読んだときは刺激されてしばらく探検物ばかり読んでいた。世界はまだまだ隔離されていてフラット化していなかった頃の話である。 高校に入った私は合唱を始めたのだけど,本田勝一(以下敬称略)のルポが面...
2016.11.29 08:55河西秀哉 「うたごえの戦後史」 日本の合唱について論じる本はほとんどない。戸ノ下達也/横山琢哉共編「日本の合唱史」か長木誠司「戦後の音楽」第二章「合唱とうたごえ」ぐらいだと思う。長木はこの少なさの理由について,日本の戦後音楽史から排除されてきた合唱音楽と吹奏楽で,共に基本的にアマチュアのものであり,それゆえ創作様式の発展史としての戦後音楽史からは除外されてきたという主旨のことを述べている。同時に,社会的影響が大きすぎて持て余し...