第4回 全日本男声合唱フェスティバル(2)

2015-07-08

 後半では参加団体の演奏を聴いた簡単な感想を並べる。自分のことを棚に上げて,好きなことを書く。

 全体の特徴として,女性指揮者が結構おられた。昔も女性指揮者はおられたが,女声合唱を指揮されていたと思う。私は女性指揮者の指導を受けたことがないけど,男性が女声を指揮することは昔からあったので,特に変わりはないのだろう。

 一方,歌い手の側にも女性がいることには結構驚いた。「男声合唱の好きな方を求む」とあると,確かに女性が参加しても良いことになる。音質が違うと思うが,少人数であれば問題ないのか(中学の合唱団で,少数の男性が混じって女声合唱を演奏しているのもみたことがある)。今はテナー系にしかおられないようだけど,低音の女性がベース系に進出してきたら,どうなるのかなぁ。

 全部で24団体が全国から集まっておられるが,今回は関西の合唱団が多いのは,まあ,妥当なところか。


男声合唱団「DOYA」大阪

多田武彦の「吹雪の街を」から3曲。オーソドックスな演奏。


九州フレッシュメンコア 福岡 

福永陽一郎編曲「おじさんの子守唄」から3曲。珍しい曲を持ってきた。同志社グリーが何度か歌っていた。


いわきメンネルコール 福島 

多田武彦「雨」から3曲。これもオーソドックスな演奏。


大阪メールクワィア- 大阪

中島みゆき「糸」「麦の唄」。編曲者がピアノ伴奏を付けた。中島みゆきの曲は確かに歌いたくなるが,本人の歌い方にもあいまって魅力となっているので,合唱でどう歌うかはむつかしいところ。


コール・ラチュアーノ 岡山 

松下耕「そのひとがうたうとき」 平均年齢71才とはとても思えない若々しい声。娘,もしかしたら孫に近い年齢の女性指揮者に率いられ,みずみずしく歌い上げたのはちょっと感動。


関西学院グリークラブ 兵庫 

トルミス「大波の魔術」 先週開催された東西4大学のレパートリー。難曲をきっちり聴かせるところはさすが。ステージの並び方と並んだ姿が整然としてきれい。ステージ練習はなかったはずだけど,各自のポジションをあらかじめ決めてあるのか。このあたりにも隙のない,緻密な練習をしていることが伺える。


北海道男声合唱団 北海道 

信時潔「沙羅」から3曲。木下版。 複数の合唱団の有志からなる。そのためかちょっと揃わない。


男声合唱団メンネルコール"I" 岡山

「キダ・タローメドレー」 「浪花のモーツアルト」キダ・タローの曲を13つないだメドレー。曲名の垂れ幕を順にだしていく演出が面白い。


男声合唱団FRIE KUNST 島根

 バード3声のミサから「Agnus Dei」ほか。頭声を効かせて,まずまずきれいに歌われていた。

男声合唱団Vive La Compagnie 埼玉 

多田武彦「柳河風俗詩」から3曲。オーソドックスな演奏。

金沢メンネルコール 石川

バーバーショップ系3曲。広瀬先生が客演されているそうで,納得のできばえ。歌うのは大変だが,客席で聴くと楽しめる。

合唱団京都エコー 京都 

男声版「蔵王」から3曲。京都エコーの男声部(有志?)に女性が3名混じっての出場。相変わらず立派な声が響く。混声版は京都エコー得意のレパートリーだからか,手慣れた感じで違和感があまりなかった。混声版でのテノールの聴かせ所が,男声合唱のため引っ込んでしまい,メリハリが効かなくなった感はある。

ここで休憩と合同合唱が2つあり,後半へ。

 男声合唱団 銀河 兵庫 

信長貴富「くちびるに歌を」 弦楽合奏をくわえての演奏。別の曲を4月のアトリウムコンサートで聴いたときより,ぐっと上手い。ホールの違いか,曲の違いか,練習の違いか。


同志社グリークラブ 京都 

北川昇「翼」多田武彦「梅雨の晴れ間に」 昨年の定演と比べてトップテノールの響きが固くなった印象。往年の響きが耳に残っているので,今一歩物足りなさを覚える。トップだけでなく,ハーモニーが固い印象だが,あえてこういう音作りをしているのだろうか? 「梅雨の晴れ間に」はアトリウムコンサートでも聴いたが,これは今回の方が良かった。伊東先生がふられたからか?


男声合唱団コール・セコインデ 兵庫 

黒人霊歌3曲。圧巻の声と表現。昔の関学のような,太く迫力あるベースにしびれる。「なにわコラリアーズ」との対比は,往年の「ベースの関学・テノールの同志社」を思わせる。


広島大学グリークラブOB合唱団コール・スローンチェ 広島 

三木稔「阿波」から2曲。演奏効果の高い1曲目や5曲目ではなく,2曲目・3曲目をもってくるところが面白い。じっくり聞かせる力がないと,しんどくなる。


長崎アカデミー合唱団 長崎 

「長崎」を曲名に含む曲を3曲。幅広い年齢の団員が,楽しそうに歌っておられた。団員による曲目紹介のアナウンス付き。


名古屋ジョイント合唱団 名古屋 

新実徳英「いつまでも いつまでも」他。これも名古屋の6団体の有志。


猪名川グリークラブ 大阪

ゴスペラーズ「真っ赤な太陽」千原英喜「Cantate Domino」ア・カペラサークルかと思ったら,千原英喜の曲を正統派に歌うので驚いた。基礎があるのか。


滋賀男声合唱団 滋賀 

「オペラ座の怪人」から2曲。指揮者の富岡健先生がマントを羽織り,団員はマスクを付けての演奏。「キワモノ」かと思ったらとんでもない,正統できっちりした音作りだった。「普通の曲」をきいてみたい。


男声合唱団音空 東京

千原英喜「おらしょ」からIII ある意味,今回最も驚いた合唱団。13名と少ないのに,音量・ハーモニー・表現,どれをとっても素晴らしい。13名とはとても思えない見事な演奏。一人一人の基礎がきっちりしているのか。


立命館大学メンネルコールOB合唱団 京都

「祇園小唄」 秋透「野の花の色」から「5つのラメント」のCDで倍音を鳴らせまくった合唱団。期待したが,そんなことはなかった。曲が違うと変わるのか?


男声合唱団メールソレイネ 山口

南弘明「月下の一群」から「海よ」オーソドックスな演奏。


京都男声合唱団 京都

多田武彦「尾崎喜八の詩から」より3曲。42名と比較的人数多く,安定したハーモニー。この組曲から選ぶなら「春愁」かと思うが違うのかな?


メモをとったわけではないので,細かいことは忘れている。個人的な印象を一言で書くならこんな感じ,ということ。異論はたくさんあるだろうが,ま,そういうことで。


日本男声合唱史研究室

日本における男声合唱史の研究 Study on male chorus history in Japan 主として明治期から1980年頃までの,日本の男声合唱について資料調査したことを中心にアップしていく予定です。いわば,私家版の「日本男声合唱史」を作る試みです。 タイトルは思い切り気張ってみました(笑)。 2024年4月15日から「無料プラン」の仕様が変わるため,構成を組み替えました。

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