多田武彦の「ミスマッチ」について 及び 「追加」

 多田武彦の漢字の読み方は,詩人の読み方や慣用的な読み方と異なるものが散見される。「室」のように辞書的に多田が正しく,詩人の慣用的な用法は辞書的に不可なケースもあるので,これを「多田の読み間違い」とするのは適切ではない。ここでは誤読も含め「ミスマッチ」と呼び,初期の作品で例を見ていく。

 多田や作品をおとしめる意図は毛頭なく,フラットにミスマッチの事例と起こった理由をいくつか集め,多田の作曲スタイルと関係付け考えてみる。全4回。



 本来なら「補足」とする内容だけれど,「補足」は既に使ったので,このタイトルにする。前回の記事は,多田武彦の詩の読み方(発音の仕方)は,詩の写し間違い以外は辞書を引いて読み方を当てたがゆえに,一般的な(慣用的な)読み方と異なるミスマッチがあることをみた。

 ここでは,漢字の読み方について,これ以降に得た知見をまとめる。その前に,前回は書かなかった多田の男声合唱組曲「木下杢太郎の詩から」について,ミスマッチを考察する。


日本男声合唱史研究室

日本における男声合唱史の研究 Study on male chorus history in Japan 主として明治期から1980年頃までの,日本の男声合唱について資料調査したことを中心にアップしていく予定です。いわば,私家版の「日本男声合唱史」を作る試みです。 タイトルは思い切り気張ってみました(笑)。 2024年4月15日から「無料プラン」の仕様が変わるため,構成を組み替えました。

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