コーラスメッセ2015

TWIN21アトリウムコンサート

2015-04-20

 同志社グリーの演奏会のパンフに,このコンサートのチラシがあり,行ってみた。二日のうち初日に男声合唱が集まっているので,こちらを選択。12時過ぎから16時半頃まで,久々に様々なコーラスを堪能できた。

 着席して聞いたのだけど,ビルの吹き抜け部にあるイベントスペースで行われるため。マイクとスピーカーで音が拡声される。そのため,どうしても前列の歌声が強調され,生の歌声と合わさってやや不自然に聞こえたのは残念。来年行くならば,立ち見でも良いので離れたところから聞いた方が良いかもしれない。


 混声と女声は余り知らない。主として高校の合唱団の演奏を聴いたけど,こういう所にはそれなりに実力あるところがでてくるのか,人数が少ないところでも実に良く当たった発声でハーモニーをつくり,「音楽していた」のには驚いた。昔はビブラートがかかった声が結構あったのだけど,今はビブラートを取り除いて正確なピッチで音を伸ばしハーモニーを作る歌い方が主流のようだ。ハーモニー優先とも言えるか。昔,関学グリーが完璧なハーモニーを作るがそのために「発声を去勢している」と言われ,慶応ワグネルが発声革命を起こしたわけだけど,スパイラルアップして再びハーモニーの時代がきているようだ。


 男声合唱は高校1団体(関学),一般3団体,大学6団体,これは旧・関西六大学のメンバー。最も良かったのは,さすがの関学グリー。Gospelは圧巻だった。早いパッセージを寸分の狂いなくタテヨコを揃え,迫力の音量とハーモニーできかせた。昔のような太いベースではないけれど,ここまでできるのならこれもあり。2回生以上で60人ぐらいか。愛唱曲らしい「ルパン3世」は新入部員15名程度も加わっての演奏。

 迫力では「なにわコラリアーズ」。一般合唱団としては平均年齢が若く(他の2団体は年配の方が多かった),声も若い。テノールのびりびりした響きは,往年の同志社グリーを思わせる。指揮者が伊東恵司さんだし,同志社出身の方が多いのか。実際,司会をしていた伊集院光みたいな感じの人は,神戸高校から同志社に行かれ,なにわコラリアーズで唄っておられるそうで,紹介したあとで一緒に歌われ,ソロで美声を披露された。

 ただ,演奏されたAve MariaもSlavnostni sborも,音楽的と言うより美声と迫力で推す曲となっていたのは,こういう集まりでこんなことを言うのは野暮だけど,残念。Slavnostni sborはチェコの「祝典讃歌」だけど,アインザッツが揃わないなど少し乱暴だった。


 以下,簡単に。同志社は,詩篇98は素晴らしかったけど「梅雨の晴れ間」は今年のレパートリーなのか,練習不足。譜面をやっと音にしたという感じ。

 大阪大学は,ベースが響かないのでハーモニーが鳴らない。演奏とは関係ないけど,「紀の国」は,昔はベースソロで始まったが,今はベースのパートソロになっている。「船のおじ」が呼びかける声と,詞に入った部分でメリハリが付いていたのがなくなり,演奏効果的には弱まったと思う。多田先生の変更意図が分からない。なお,曲の最後で「ゆずり葉」を「ゆずりBA」と歌わせているが,これは多田先生のミスで「ゆずりHA」が正しい。花言葉は「若返り」「世代交代」「譲渡」。


 意外な健闘が甲南大学。六連があったときも,ここは少しレベルが落ちていた。14名ぐらいで,校歌を弱々しく歌ったときは失礼ながら変わらないなぁと思ったけど,西牧潤先生がSAFARIを振り始めると一転,良く声が出て表情豊かに歌い上げたのはビックリ。決して手拍子や足拍子が入ったからではない。いやー,こんなに変わるんだ。


 立命メンネルと関西大学は20名程度(関大は数名のOBを含む)。共に声ができていないのが致命的。高音になっても頬も眉も上がらなくて,良い声はでないでしょう(逆に,なぜあれで高音がだせるのか不思議)。人数少なくても発声ができれば良い合唱になることは,高校生の団体や甲南大学が示している。両団ともに伝統があるのだから,がんばって貰いたい。


日本男声合唱史研究室

日本における男声合唱史の研究 Study on male chorus history in Japan 主として明治期から1980年頃までの,日本の男声合唱について資料調査したことを中心にアップしていく予定です。いわば,私家版の「日本男声合唱史」を作る試みです。 タイトルは思い切り気張ってみました(笑)。 2024年4月15日から「無料プラン」の仕様が変わるため,構成を組み替えました。

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