ボーカロイドによる男声合唱

 ご存じの方も多いでしょうが,VOCALOID(ボーカロイド)という音声合成技術で多田武彦の合唱曲を歌わせている方(PikabonTさん)がおられ,Youtubeで聴くことができる。

https://www.youtube.com/user/pikabonT/videos


 VOCALOIDはwikipediaによれば「メロディーと歌詞を入力することでサンプリングされた人の声を元にした歌声を合成することができる。対応する音源については、主にヤマハとライセンス契約を締結した各社がサンプリングされた音声を収録した歌手ライブラリを独自に製作し、ヤマハ製のソフトウェア部分と組み合わせて製品として販売されている*」ということ。

* https://ja.wikipedia.org/wiki/VOCALOID


 PikabonTさんのサイトに集められた曲を聴き*,驚嘆。音取り等のために楽譜入力しmidiで音を作っても「電子音だしこんなものか」程度にしか感じないけど,正確なリズムと音で,下手な合唱団よりよほどしっかりした日本語で歌われると唸るしかない。

 特に作者も書いておられるように「軽快な曲」は得意で,例えば「男声合唱組曲「追憶の窓」Ⅵ.昨日はどこにもありません」などはとても敵わない(https://www.youtube.com/watch?v=CnPOiVCghx4)。ボーカロイドはブレス不要で,速いパッセージで音もリズムも狂わないのだから。

* 新しい曲やあまり歌われておらず音源がない(組)曲が多い印象。極めて珍しい,男声合唱組曲「父のゐる庭」の差し替え前の第一曲「駅前旅館」も聴けます。「駅」が楽譜通り「驛」と旧字体の標記。

 合唱には大きく歌う楽しみと聴く楽しみがあるけれど*,このまま音声合成が進化していったら,聴く楽しみの方はどうなるだろう。和音を純正調に調整する技術や,音色の調整技術,パートパランスも調整できたら,指揮者の頭にある音楽をそのまま形にできるようになる。将来プロ合唱団は必要なくなるかもしれない。

* 調べる楽しみもあるけれど,こちらは少数でしょう。

日本男声合唱史研究室

日本における男声合唱史の研究 Study on male chorus history in Japan 主として明治期から1980年頃までの,日本の男声合唱について資料調査したことを中心にアップしていく予定です。いわば,私家版の「日本男声合唱史」を作る試みです。 タイトルは思い切り気張ってみました(笑)。 2024年4月15日から「無料プラン」の仕様が変わるため,構成を組み替えました。

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