2014.11.28 15:00輪島祐介「創られた『日本の心』神話 『演歌』をめぐる戦後大衆音楽史」 2014-11-29 「演歌は昔から歌われてきた日本の歌で,古き良き日本を表現する」とは,私が漠然ととらえていたことだけど,根本的に間違っていることをこの本に教えられた。4部14章のうち,3部が演歌の成立過程を歴史的にたどり,第4部はその考察。私には,第4部が圧巻のおもしろさだった。 そもそも,演歌とは明治時代に自由民権運動などの演説会が弾圧されたとき,主義主張を歌うことにより「演...
2014.11.20 15:00男声合唱のトーン 2014-11-21 私が男声合唱に打ち込んでいた70年代半ばから80年代半ばにかけて,最高峰に君臨していたのは東西四大学,つまり早稲田大学グリークラブ,同志社グリークラブ,慶応義塾ワグネル・ソサイエティ男声合唱団,関西学院グリークラブだった。この四大学は音楽的に特長があるたけではなく,一聴でどの団体が歌っているかがわかる,明確なトーンの違いがあった。さすが最高峰の四大学,各々に個性...
2014.11.11 15:00奥中康人「和洋折衷音楽史」 2014-11-12 幕末から明治にかけて西洋音楽が流入したことで日本文化がどう変化したかを扱う本だが,エッセイ形式で豊富なエピソードとくだけた注が面白く,楽しく読める。 勉強になったのは,今まで伊澤修二を始めとする明治の「音楽官僚」は,日本古来の音楽を否定し,西洋音楽の導入にのみ熱心だったと理解していたが,全く違っていた点。むしろ,日本音楽と西洋音楽の「折衷」を目指していたのだ。...
2014.11.01 15:00辻田真佐憲「日本の軍歌 国民的音楽の歴史」 2014-11-02 著者は20年以上にわたって軍歌を収集し研究している人だが,出版時点で30歳!新書なので記述できる量は限られるが,それでも著者が若くして軍歌を徹底的に調べていることが分かる。私も男性合唱の調査を趣味にしているのだけれど,やるからにはこれぐらいやらないといけないなぁと反省。 軍歌というと,今の我々には右翼が流す大音量のノイズでしかなく,戦前の日本が民衆を戦争にかき...